「謎解き数学」のヒント&解答&解説
みなさんこんにちは。カナンです。
以前公開した「謎解き数学」に載せた謎およびカナンの挑戦状の解説をしたいと思います。
壮大なネタバレを含みますので、まだ解いていない方は是非ご自分の手で解いてみてからこの記事を読んでください。
答えは「4文字の数学用語」になります。
よろしくお願いいたします。
まだ解けていない人のために、ヒントをいくつか差し上げたいと思います。
ヒント
$T=1, E=7, A=9$です。
これだけでは解けない問題がほとんどです。まずはプレゼン中に出題した謎を解いてみましょう。
このような○がついた矢印をどこかで見かけたはずです。
横向きにして解き直してみましょう。
このような赤線を4箇所、スライドのどこかで見かけませんでしたか?
緑、赤、黄、青の4つの色で塗り分けられた絵を見た覚えはないでしょうか?
もしくは自分の手で塗った覚えは…
答えはカタカナ3文字になります。
2文字目は赤と青の枠がくっついて一つのカタカナになります。
ダジャレです。
ドミノ倒しに例えられることが多い証明方法です。
もう一度このスライドを最初から見てみましょう。
「通らない文字」とありますが、そもそも文字の上を通った覚えはありませんか?
ひらがなの上を通過する問題がどこかにあるはずです。
数字に変換して、計算して、アルファベットに変換しましょう。
4つの矢印はそれぞれ言葉を変換するようです。
逆向きの矢印があることに注意しましょう。
4つの漢字をそれぞれ置き換えているようですね。
置き換えることで別の問題に変わるようです。
解答欄に文字を入れ、赤線の部分を読んでみましょう。
Fの問題はあらかじめ黒で濁点が書いてあるため、赤線の部分を読む時は濁点は外して読めばOKです。
「たいとるのかしらもじ」というのはメッセージとしては不自然ですね。では「タイトルの頭文字」を読んだらメッセージが浮かび上がるとしたら…?
もう一度このスライドを広く見渡してみましょう。
プレゼン中の謎
数学と絡めた謎を紹介するということで、プレゼンの中でいくつか謎を出題しました。
覆面算
次の対応が答えです。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
O | T | R | H | U | Y | L | E | M | A |
まずは桁数から$T=1$であるとわかり、縦に並んだ$E$から$E=7,8,9$であると絞り込み、$E$の値で場合分けをして$(A,Y),(L,H)$の組み合わせがさらに絞り込まれて…といった流れで解けるかと思います。
場合分けはかなりハードではありますが、道に迷わなければしっかり解ける問題ではあります。
四色定理
この塗り分け作業はなかなかに楽しいので是非やってみてください。
緑を左から読めとあるのでその通りに読んでみると、サイショク(彩色)が答えになります。
関数
つまり
創始 → 相似(そうじ)
が答えです。
2問目は「2文字の順番を入れ替え、真ん中に"っ"を入れる」という関数です。
つまり
磁場 → バッジ
が答えです。
つまり
にい → ちしき
が答えです。
4問目は「偶数番目の文字を読む」という関数です。
つまり
式の値 → 気合(きあい)
が答えです。
余談ではありますが、それぞれの関数にはちゃんと定義域や値域があり、単射や全射などを考えることができます。定義域や値域が言葉として成り立っていなくても良いとして考えると、次のようになります。
1問目
定義域:最後の文字に濁点、半濁点がついていない言葉
値域:最後の文字に濁点がついた言葉
この関数は全単射
2問目
定義域:2文字の言葉
値域:2文字目が"っ"である3文字の言葉
この関数は全単射
3問目
定義域:2文字の言葉であって、50音表でその2文字が同じ行、列、または斜めの位置関係にあるような言葉
値域:50音表で縦、横、斜めに並ぶ言葉であって、その両端より1つ外側にそれぞれひらがなが存在するような言葉
この関数は全単射
4問目
定義域:2文字以上の任意の言葉
値域:全ての言葉
この関数は全射であり、単射ではない
三角関数
カナンの挑戦状
さて、ここからが本編です。
A
横向きにして円の下(または上)にあてることで、違った答えが浮かび上がります。
答えはためんたいです。
B
順番に読んでみると
数学と絡めた
定番の謎たち
理解が深まる
となります。矢印が示すとおり、この最初の文字を読んでいくと素数定理が答えになります。
C
「緑のごかく」とは緑色で五角形の図形のこと、「青のしかく」とは青色で四角形の図形のことです。
この2つを「赤と黄のマスを渡って」みましょう。
この問題ですが、赤と黄を渡って移動するルートが一意に定まりませんでした…失礼しました。
解けた方は「答えが4文字である」「答えはどうやら数学用語らしい」ということから答えにたどり着いていたようですが、こういった問題は出題する前にモヤモヤを取り除いておくべきですね。デバッグの大事さを改めて実感しました。
E
A. 帰納法(きのうほう)
ダジャレです。それ以上でもそれ以下でもありません。
G
序盤の方に出題した、線対称の迷路の問題を使います。
H
覆面算を解いたときの変換表を使い、一度数字に変換しましょう。すると、\begin{eqnarray}
&&LAY + RULE + LOYAL + ROOT + MATH\\
&=& 695 + 2467 + 60596 + 2001 + 8913 \\
&=& 74672
\end{eqnarray}になります。この$74672$をさらに変換表でアルファベットに戻すと$EULER$となり、答えはオイラーになります。
I
スタートはEの問題なので、「きのうほう」からスタートします。
きのうほう
→ のほ (偶数番目の文字を読む)
← とも (50音表で挟まれた文字を読む の逆関数)
→ もっと (逆順にして"っ"を入れる)
→ もっど (最後の文字に濁点をつける)
となるので、答えはもっど(mod)になります。
J
解答欄
ではこれら10問の答えを解答欄に当てはめてみましょう。
という言葉が浮かび上がります*3。これが果たして答えなんでしょうか?10文字のメッセージとありますが、メッセージにしてはあまりにも味気ないですね。
では、タイトルの頭文字を読むことでメッセージが浮かび上がるとしたら…?
タイトルと言ってもプレゼン全体のタイトル(謎解き数学)や謎のタイトルなどいろいろありますが、スライドのページのタイトルというのも考えられます。そして、このスライドの左上に表示されているタイトルはちょうど10種類あるようです。
順番に見ていくと、
- あいさつ
- 謎解きとは?
- 試しにやってみよう
- 脳トレの時間
- 大発見
- 今まで見たことある謎たち
- しかし…
- 余談
- 嘘のような本当の話
- 理解が深まる!
ですね*4。
漢字が多いので、ひらがなに直していきましょう。
そして、頭文字を見ていきます。
- あいさつ
- なぞときとは?
- ためしにやってみよう
- のうとれのじかん
- だいはっけん
- いままでみたことあるなぞたち
- しかし…
- よだん
- うそのようなほんとうのはなし
- りかいがふかまる!
つまりカナンの挑戦状の最後の答えは
(あなたの大勝利)
です!
この最後のメッセージにたどり着くことが出来た方は見事、挑戦状クリアです!!おめでとうございます!!
スペシャルサンクス
今回の謎を制作するにあたっていくつかお世話になったサイトがあるのでご紹介します。
熟語パズル - MCHS
www.mchs-u.net
和同開珎問題において、上下左右に入る4つの漢字を与えると中央に来る漢字を教えてくれるサイトです。
解が複数個考えられる場合はそれらをすべてリストアップしてくれるので助かりました。
熟語パズル(和同開珎)を1クリックで作れるアプリ - なぞまっぷ
www.nazomap.com
上記サイトとは逆に、中央に来る漢字(答え)を指定すると上下左右に(解が一意になるように)漢字を入れてくれるサイトです。
クリックするたびいろんなパターンを作ってくれたり漢字のレベルを指定できたりといろいろ助かりました。
和同開珎問題で再利用させる問題はかなり制限が強いですが、上記2サイトのおかげでなんとか作ることができました*5。
覆面算ソルバー
覆面算を与えてくれるとそれを自動で解いてくれるサイトです。解が複数ある場合はすべてリストアップしてくれます。
EULERをもとにmath, theory, lemma, true, ...といったようにいくつか単語を考え、とにかくいろんな組み合わせで覆面算を作ってみたらtrue+lemma+lemma=theoryで一意解になった!はい!!採用!!!というふうに活用させていただきました。
他にも解が一意になるような覆面算が大量に載っているので、見ているだけでも楽しいサイトです。
Wordsmith
wordsmith.org
英語のアナグラムを作ってくれるサイトです。
僕はこのサイトに「OTRHUYLEMAOTRHUYLEMA」という文字列を与えて強引に単語を作ってもらい、そこに出てきた単語の組み合わせで答えがEULERになるものを自作プログラムで探して…というふうにしてHの問題を作りました*6。
これらのサイトがなければ和同開珎や覆面算といった制約の強い問題を作り終えることはできませんでした。本当にありがとうございました。
まとめ
この挑戦状ですが、これまで3名の方から最終解答のDMを頂いています(2019/05/11現在)。おめでとうございます!
うち1名はこのプレゼンを行ったイベント当日中に最終解答に辿り着いていました。ひえぇえ
今回のプレゼンを準備するのは簡単ではありませんでしたが、その分完成したときの達成感は尋常ではありませんでした。しっかりプレゼンのために使えるスライドでありながら、謎を散りばめ、小問、再利用、さらにはタイトルを絡めたラス謎まで見事にバランスの取れたスライドに我ながら惚れ惚れしてます。
恐らくこんなに謎にまみれたプレゼンスライドは他にないと自負しているため、解けた方も解けていない方もぜひいろんな人に拡散していただけると泣いて喜びます。
最近は算数と謎解きを絡めた親子向け公演を制作しています。機会があったら覗いてみてくださいね。
それでは今回はこのあたりで。ありがとうございました。
あ、この記事の各タイトルの頭文字を読んでも何も浮かび上がりませんよ?さすがに無理。
*1:ノルムって手書きで書くときにルムだったりノムになったりして書きづらいよね、と感じたところから思いついた謎です。逆転の発想。
*2:「数学」の中にガウスが隠れているって結構感動しませんか?僕はしました。
*3:Fの問題(ガウス)はどうしても出題したかったため、濁点を無視させるという若干無理のある解答欄になってしまいました。
*4:敢えてタイトルを消していたりぼんやりしたタイトルがあったりと、プレゼンとしてはかなり不適切なページタイトルが多いですね。まとめなんてわざわざページ追加して中央に文字を表示させてて強引だし。大学の教授が見たらブチ切れそう。でも謎のためだし仕方がない…
*5:でもさすがに「落単」は強引すぎた気がする。
*6:ちなみに他に答えが$EULER$になるものは$RELY + THEME + ROOMY + HELLO + HEY$, $EARTH + THEME - MATH - MULT - TOUR + ME$, $LEMMA + HOUR + TRUE + TRUE + TRUE$などがあります。