【§4定義】大きさを測る

§4 Uniformity norms, and the generalized von Neumann theoremを読んでいきます。

前回突如現れたGowers一様性ノルムと、定理3.1の証明が行われています。

Gowers一様性ノルムは次のように再帰的に定義されています。

定義4.2 Gowers一様性ノルム
関数f:\mathbb{Z}_N\to\mathbb{C}に対して、d-Gowers一様性ノルム\|f\|_{U^d}を次のように定める\begin{align}
\|f\|_{U^0}&:=\int_{\mathbb{Z}_N}f &(d = 0)\\
\|f\|_{U^d}&:=\left(\mathbb{E}_{h\in\mathbb{Z}_N}\|\overline{f}T^hf\|_{U^{d-1}}^{2^{d-1}}\right)^{\frac{1}{2^d}} &(d\geqq 1)
\end{align}
ヤバそう

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【§3】定理三銃士を連れてきたよ

定理三銃士!?

§3 Overview of proofを読んでいきます。

前記事の仮定として用いられていた定理2.4を証明するために、また別の定理を3つ用意します。
canaan1008.hatenablog.com

それぞれの証明はまた今度やるとして、ここではその3つの定理から定理2.4が導出できることを確認します。

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【§2】ひとまずSzemerédiの定理へ

*4/25追記:一部の議論を追加、修正しました。
§2 The finite cyclic group settingを読んでいきます。

前回は定義をたくさんして議論の準備ができました。
canaan1008.hatenablog.com

そして、今回のテーマとなる定理はこちら!ババン

定理2.4 定量的回帰定理
任意の整数k\geqq 1、十分大きな素数N\geqq 1、任意の0 \lt\delta\leqq 1に対し、
\int_{\mathbb{Z}_N}f\geqq\deltaを満たす任意の非負値有界関数f:\mathbb{Z}_N\to\mathbb{R}^+に対して、$$
\mathbb{E}_{r\in\mathbb{Z}_N}\left(\int_{\mathbb{Z}_N}\prod_{j=0}^{k-1}T^{jr}f\right) \gg_{k,\delta} 1
$$が成立する。
この定理自体の証明は後回しにしますが、この定理が成り立つとするとそこからSzemerédiの定理を導くことができます

というかこの論文、「Aが成り立つとするとBが成り立つよ!Aの証明はあとでやるから」ってスタンスで進んでいくようです。

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【§2準備】定義の盛り合わせ

※4/25追記:シフト作用素の定義を変更しました。

これから§2 The finite cyclic group settingを読んでいきます。

さてこれからSzemerédiの定理の証明に向けていろいろ頑張るわけですが、その前にいろんな下準備が必要になります。

定義だけでもかなりたくさんあるので、それだけで一つの記事が必要になりそうです。

がんばるぞい!

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必ず見つかる等差数列

T.Tao, A quantitiative ergodic theory proof of Szemerédi's theoremを読んでいきます。
ただでさえややこしい内容である上に全部英語なので、自分の中での理解を確かめるために学んだことをブログにまとめられたらな〜〜〜と思っております。

本記事はそのイントロダクションということで、↓の2つの定理を紹介します。

定理1.1: Van der Waerdenの定理
任意の自然数k,m\geqq 1に対して、ある自然数N=N_{vdW}(k,m) \geqq 1が存在して、任意の色づけ{\mathbf c}:\{1,\dots , N\} \to \{1, \dots , m\}に対して同色で塗られた長さkの等差数列が存在する。

定理1.2: Szemerédiの定理
任意の自然数k\geqq 1と実数0 \lt \delta \leqq 1に対して、ある自然数N_{SZ}(k,\delta) \geqq 1が存在して、すべてのN\geqq N_{SZ}(k,\delta)に対してA \subset \{1, \dots , N\}かつ\frac{|A|}{N}\geqq \deltaを満たすAには長さkの等差数列が存在する。

すごそう(小並感)

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連分数メーカー

今日は連分数を作りましょう

連分数の作り方はいろいろありますが、本日の主役はこちらの無限和さんです$$
K=a_1+a_1a_2+a_1a_2a_3+a_1a_2a_3a_4+\cdots
$$
こんにちは

また、この方法を使ってライプニッツ級数(\frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-+\cdots = \frac{\pi}{4})の別の姿を見てみましょう。

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ウォ!リスの公式 ё(・ω・=)@

1から順に自然数を2つずつ用意して並べます(最初は1つだけ)$$
1\ 2\ 2\ 3\ 3\ 4\ 4\ 5\ 5\ 6\ 6\ \cdots
$$ジグザグに並べます\begin{align}
1\ 3\ 3\ 5\ 5\ 7\ 7\ \cdots \\
2\ 2\ 4\ 4\ 6\ 6\ 8\ \cdots
\end{align}それぞれの数字の積と見て、間に線を引いて分数と見ます。$$
\frac{1\cdot 3}{2\cdot 2}\cdot\frac{3\cdot 5}{4\cdot 4}\cdot\frac{5\cdot 7}{6\cdot 6} \cdots
$$この値はなーんだ?

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