冪級数に憧れて
本日の主役はさんです。こんにちは。
を書くとこんなグラフになります。
彼には冪級数(べき級数)への憧れがありました。
冪級数とは、やのように、の冪乗の和(正確には無限和)で表されるものです。
前回の母関数も冪級数です。
canaan1008.hatenablog.com
果たしてさんを冪級数で表すとどのようになるのでしょうか?
実際にやってみましょう。
とりあえず置いてみる
冪級数で表されるとして、とりあえず次のように置いてみましょう。$$
\log{(1+x)} = a_0x^0+a_1x^1+a_2x^2+a_3x^3+\cdots
$$
の係数がということです。
すると、考えるべきことは次のような問になります。
\log{(1+x)} = a_0x^0+a_1x^1+a_2x^2+a_3x^3+\cdots
$$と表されるとき、の値は何になるか?
簡単なところから
の値はすぐにわかりそうです。
を代入してみます。$$
\log{(1+0)} = a_0
$$となるので、$$
a_0=0
$$です。
次の係数は?
$$
\log{(1+x)} = a_0x^0+a_1x^1+a_2x^2+a_3x^3+\cdots
$$の両辺をで微分してみます。$$
\frac{1}{1+x} = 0+1\cdot a_1x^0+2\cdot a_2x^1+3\cdot a_3x^2+\cdots
$$これまで定数項だったが消えて、代わりにが定数項として現れました。可愛いですね(?)。
この状態で再びを代入してみましょう。$$
\frac{1}{1+0}= 1\cdot a_1
$$となるので、$$
a_1=1
$$です。
で、は?
に限らず、が冪級数で次のように表されているとしましょう。$$
f(x) = a_0x^0+a_1x^1+a_2x^2+a_3x^3+\cdots
$$そして、この両辺を回微分します。
すると、両辺辺はそれぞれこんな感じになります。(計算の詳細は省略します)$$
f^{(n)}(x)=n!a_n+(\text{$x$の式})
$$この右辺に注目!!!!!
- (次まで)は回微分すると消える(になる)
- の項は回微分すると(定数)になる
- (次以降)は回微分してもが残る
ここでを代入しちゃいます。すると…\begin{align}
f^{(n)}(x)&=n!a_n+(\text{$x$の式})\\
f^{(n)}(0)&=n!a_n\\
a_n&=\frac{f^{(n)}(0)}{n!}
\end{align}
の回微分とそのときのの値がわかれば、そこからの値が求めることができるようです。
めでたしめでたし。
憧れの冪級数
の回微分は、$$\frac{(-1)^{n+1}\cdot (n-1)!}{(1+x)^n}$$になります。
これより、に対しては\begin{align}
a_n&=\frac{(-1)^{n+1}\cdot (n-1)!}{(1+0)^n\cdot n!}\\
&=\frac{(-1)^{n+1}}{n}
\end{align}であることがわかりました。
の値も考慮して元の式に代入すると$$
\log(1+x) = x-\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{3}x^3-\frac{1}{4}x^4+-\cdots
$$となります。美しいですね〜〜〜〜〜〜
このようにを代入して求める展開のことをマクローリン展開と呼びます*1。
最初の記事ではしれっとのマクローリン展開をしていました。
canaan1008.hatenablog.com
*1:に限らない展開はテイラー展開と呼びます。「が○○の周りで展開すると、」みたいな感じで言ったりします。